ふくのう

Model caseモデルケース

福島県福島市

安齋 宏樹 さん(福島市出身)

経営状況
安齋さんってこんな人!
チャレンジ精神と経営者としての視点を持ったファーマー。研究熱心なその姿勢は若手担い手の中でも頼れる存在です。(県北農林事務所Nさん)
現在の経営状況 (2021年11月時点)
露地 18a
ハウス 4a
  • ・トラクター
  • ・マルチャー
  • ・動力噴霧器
    (祖父母からの譲渡)
  • ・パイプハウス
    ・自動灌水設備一式
アルバイト1名
(繁忙期は両親が手伝い)
就農のきっかけ

銀行員として3年半が過ぎたとき、成果をダイレクトに感じられる「ものづくり」に興味を抱くようになったのが農業を志したきっかけです。祖父母が小菊と梨を手がける農家で幼い頃から農業は身近にあったものの農作業は手伝い程度。50aほどの田んぼもありますがその規模では農家として食べていくことはできません。そんなときに出会ったのがキュウリです。夏秋キュウリ出荷額日本一を誇るこの地域にはJAによる技術指導や若手育成などの基盤があるため、これならやっていけると思いました。最初はわずか5aに露地キュウリを定植し、キュウリと向き合うことからスタート。徐々に規模を増やし就農3年目で認定新規就農者の認定を受け、今に至ります。

就農前後の動き
就農前は?

認定新規就農者の認定を受けるまでの2年間はキュウリの生態を理解し、栽培技術の習得に努めました。きゅうり部会の勉強会に参加することはもちろん、先輩やベテラン生産者のほ場を見せていただいたり、論文を読んだり、自分なりに研究もしました。このように研修のような期間を持つことができたのは、親族名義の農地のほか、トラクターや動力噴霧器などの農機を祖父母から譲り受け、スタート時のマイナス(借金)がなかったことが大きな要因です。金銭的負担が少ないのは精神的にもラクでした。

収穫したばかりのキュウリはトゲがいっぱい!
トゲの多さは新鮮な証
1年目

就農から実質3年、認定新規就農者としては1年目となる2019年は、農業次世代人材投資資金(経営開始型)を活用し、資材の購入などに充てました。収量だけ見れば前年の方が上回る結果となったこの年は天候に左右される露地キュウリの難しさを痛感。露地キュウリは天候の影響をダイレクトに受けるため、気温や日照時間、降水量などに対応して栽培する技術が必要です。自然を相手にする農業の難しさを学ぶと同時に、この頃からキュウリ栽培の面白さがわかってきたように思います。

  • 露地
    18a

    • (就農前に
      マルチャー購入)
  • アルバイト1名
    (繁忙期は
    両親が手伝い)
管内では珍しい「つるおろし栽培」を実践中
2年目

露地キュウリだけでは安定経営は難しいと考えハウス栽培に乗り出したのが2020年のことです。新たに地主から農地を借り受け、資金繰りは青年等就農資金とJAの補助金を利用。共同選果場を利用し、箱詰め作業を委託できるようになったことも増反の後押しに。この年は福島産キュウリの単価が高騰したおかげで売上げはアップしたものの、増反をしたことで収穫が忙しく、管理作業に手が回らなかった結果、目標の収量には至らなかったことが反省点です。樹勢管理や追肥などを適期に行う大切さを学びました。

  • 露地 18a
    ハウス 4a
    • ・パイプハウス
    • ・自動灌水設備一式
  • アルバイト1名
    (繁忙期は
    両親が手伝い)
JGAP団体認証を取得している安齋さんのキュウリ
現在

一昨年、昨年は他産地が不作だったため、福島県産夏秋キュウリは高値で取引されました。それと比較すると全国的に豊作だった2021年は単価が下がり、収益だけで見ると今ひとつと言ったところです。今年は気温差が激しく、雨も多かったことが露地栽培に大きく影響しました。就農してトータルで5年、周囲のサポートもあったおかげで品質は年々向上しているように感じます。露地は天候を的確に読んで収穫期間を長く、ハウスは管理を徹底し、効率的に収穫ができるよう安定経営を図っていきたいです。

  • 露地 18a
    ハウス 4a
  • 変更なし
  • アルバイト1名
    (繁忙期は
    両親が手伝い)
その日の天候に合わせて自動灌水装置のタイマーを設定
これからの目標

ハウスを増反し、半促成栽培(4月定植)と抑制栽培(8月定植)合わせて反収を20t、露地栽培で10tにすることが目標です。現在、キュウリの主枝を摘心した後に発生する子づるを4本用い、それらを摘心しないで誘引を続ける「つるおろし栽培」というこの地域では珍しい手法を取り入れています。従来のアーチ栽培と比較しながら反収アップにつなげていくことを目指しています。“夏秋キュウリ出荷額日本一”の一翼を担う福島市には産地を守る情熱が根付いています。心根の優しさもあります。その環境は農業を志す全ての人にとって理想の土地と言えるのではないでしょうか。ベテランも若手も一丸となって産地を盛り上げていきたいです。