先輩就農者に聞いた就農後のリアル就農ロールモデル

ロールモデル:10清水 遼さんの場合

福島県福島市

清水 遼さん

出身:東京都
清水さんってこんな人!

後継者がおらず、離農を考えていた農家からなし園を引き継いだ清水さんは、地域にとって心強い存在。第三者継承により新規就農したロールモデルとして、今後の活躍が期待されています。(農業経営・就農支援センターY さん)

現在の経営状況

面積
  • ナシ:1.6ha
設備
  • 新規購入:
    スピードスプレヤー、草刈機
  • 継承:
    バックフォー、コンテナ、管理機等
雇用
アルバイト(のべ約30名)

INTRODUCTION予備知識

農業機械や資材を揃えることは新規就農者にとってハードルが高い

農業を始める方法は、新しく農地を借りて一から経営を立ち上げる新規参入、農業法人等に雇用される雇用就農だけでなく、すでにある農業経営を引き継ぐ「経営継承」という選択肢もあります。
「経営継承」のうち、親族以外の新たな担い手が、農地や農業機械、栽培技術、販路などを含めた農業経営そのものを引き継ぐことを「第三者継承」と言います。長い年月をかけて築かれた経営の土台を活かせるため、初期投資を抑えやすく、技術やノウハウ、人脈なども引き継げる点が特徴です。
特に、果樹は苗木を植えてから収穫までに数年かかることから、成園化した園地を引き継いで、すぐに収益を上げられることは大きなメリットになります。こうした第三者継承という形で農業の道を選び、現在、福島市でなしの果樹園を営んでいるのが清水遼さんです。

IMPETUS就農のきっかけ

私は、大学時代に農業・畜産・水産等を全般的に学び、アルバイトではジャガイモの収穫やてん菜の補植などを経験しました。両親の知人が営む山梨県のもも農園でももを食べたとき、そのおいしさに心をつかまれ、「自分も果樹を育ててみたい」と思うようになりました。大学卒業後は会津美里町の農園に就職し、ももやかき、プラムなどの栽培に携わりました。その後も観光農園など複数の農家の元で雇用就農を経験し、果樹栽培の技術や知識を学んできました。観光農園での雇用就農は、私にとって実践的な研修のような時間でした。栽培技術だけでなく、作業の段取りや繁忙期の人手の回し方など、現場でなければ学べないことが多くありました。
果樹は、同じように手をかけても一つとして同じ実がなりません。天候にも左右されますし、マニュアル通りにいかないことも多い。そこに、果樹栽培の面白さと難しさの両方を感じています。

SELECT「第三者継承」という選択肢

第三者継承で引き継いだなしの果樹園 いくつかの農園で経験を積む中で、「いずれは自分の農園を持ちたい」という思いが、少しずつ現実的な目標として見えてきました。一から就農する方法も考えましたが、果樹は収穫までに時間がかかる作物です。経営を早く軌道に乗せるためには、既存の農園を引き継ぐ第三者継承という選択肢が自分に合っていると感じるようになりました。
福島市内の農園主さんとのご縁があり、友人とともに、第三者継承という形でなしの果樹園を引き継ぐことになりました。第三者継承を具体的に進めるにあたっては、県農業経営・就農支援センターなどに相談しながら準備を進めました。継承の進め方やスケジュール感、経営を引き継ぐうえで確認しておくべき点などを整理してもらい、漠然としていた不安が少しずつクリアになっていきました。そうしたサポートもあり、令和6年に無事継承して営農を開始することができました。事情があって、令和7 年からは私一人で経営をしており、現在は、約1 町6 反(約1.6ha)の土地で約600 本のなしを栽培。アルバイトの方に手伝ってもらいながら果樹園と直売所を運営しています。雇用就農のときと一番違うのは、すべてが自分の責任になるという点です。自分で考えて計画を立て、判断できることにはやりがいを感じますが、失敗すればそのまま収益に影響するので、常に緊張感もあります。

第三者継承のメリットと、見えてきた課題 第三者継承のメリットは、やはり初期投資を抑えられることです。果樹は苗木から収穫までに5 年ほどかかると言われますが、成木があったため、引き継いだ初年度から収穫ができました。農業機械やコンテナなどの設備を引き継げたことも、とてもありがたかったです。
一方で、古木があったり、消毒が必要な木もあったりして、初年度は思うように実がつかない木もありました。規格外の実が多く出てしまったことも課題です。
また、第三者継承を経験した立場として、これから同じ道を考えている方に伝えたいこともあります。実は、今の農園を継承する前に、別の農園を第三者継承として引き継ぎ、実際に経営を始めたことがありました。ただ、途中で親族の方が継ぐことになり、結果的にその農園を離れることになったんです。
その経験があったからこそ、継承にあたっては、事前の確認がとても大切だと感じています。少しでも不安があるときは、早めに県の担当者に相談してほしいです。第三者継承は、一人で進めるものではないと思っています。

農園に併設した直売所では季節になると旬のなしを並べる

この広さの農園を一人でやっていくのには、正直限界があります。実際に経営してみて、人の力が欠かせないと強く感じるようになりました。今はアルバイトの方に手伝ってもらいながら果樹園と直売所を運営していますが、今後は繁忙期だけでなく、年間を通して雇用し、作業をお願いできる体制を整えていきたいと考えています。作業計画や役割分担をしっかり決めることで、無理なく仕事を回し、長く続けられる経営にしていくことが、これからの課題です。また、現在は農協への出荷が中心ですが、今後は自分が自信を持って値段をつけ、直売所で販売できるようになることが、経営を安定させるためのカギだと考えています。そのためにも、もっと技術を磨いていきたいです。

SUPPORT第三者継承を支える福島県のサポート体制

第三者継承は、農業経営を引き継ぐという点で大きなメリットがある一方、「いつ引き継ぐのか」「技術や経営ノウハウはどのように身につけるのか」「農地、設備などの資産はどのように継承するのか、その資金をどう準備するのか」といった、事前に整理しておくべき事項も多くあります。
福島県では、こうした不安や疑問に対応するため、農業経営・就農支援センターを中心とした相談体制を整えています。第三者継承を検討し始めた段階から相談することができ、継承までのスケジュールや、資産・農地の継承方法、資金の確保、関係者との話し合いの進め方などの疑問に対して、アドバイスを受けることができます。
また、継承後も、日々の栽培管理や経営に関する相談を、県農林事務所など関係機関と連携しながら支援しています。
第三者継承に関心のある方、具体的な検討を始めたい方は、まずはお気軽にご相談ください。

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