先輩就農者に聞いた就農後のリアル就農ロールモデル

ロールモデル:09星 早苗さんの場合

福島県郡山市

星 早苗さん

出身:神奈川県海老名市
星さんってこんな人!

神奈川から郡山市に移住し、アグリカレッジ福島で基礎から学んで就農された星さんは、着実に経営を拡大する期待の担い手!野菜ソムリエサミットで毎年金賞を受賞するなど、品質へのこだわりと探究心に頭が下がります。(県中農林事務所Nさん)

現在の経営状況(2025年10月)

収益
面積
  • ネギ:100a
設備
  • 皮むき機
  • 管理機
  • 収穫機
  • トラクタ
雇用
夫婦で農業に従事。農繁期にパート1名を雇用

IMPETUS就農のきっかけ

神奈川県出身の私は、郡山市出身の夫と出会い、結婚を機に移住しました。もともと自然やアウトドアが好きだったので、移住することに不安はありませんでした。移住後、最初は介護の仕事に就いたのですが、コミュニケーションの難しさに悩んで退職。その後、義父が趣味でやっていた畑を手伝うようになり、土に触れ、植物と向き合う時間がとても心地よかったことを覚えています。自然の中で、自分のペースでできる仕事っていいなと感じるようになりました。作物が少しずつ成長していく姿に癒され、喜びを感じるようになった私は、しだいに、「農業を仕事にしたい」と本気で考えるようになりました。

PRE-FARMING就農前の動き

※1 全5日の栽培体験等を通して、就農に向けた基礎知識・技術の習得を目指すもの。
※2 1年間栽培技術及び経営管理を主体的に学び、円滑な就農を目指すもの。

就農を本気で考え始めたとはいえ、私自身は非農家出身。義父もあくまで趣味の範囲なので、まずは基礎からきちんと学びたいと思い、福島県農業総合センター農業短期大学校(アグリカレッジ福島)の初級コース(※1)に通い始めました。コース終了後、もっと学びたいという気持ちが強くなって、長期就農研修(※2)でさらに1年かけて本格的に農業を学ぶことに。作付品目は、最初は地元でよく栽培されているキュウリに挑戦してみたのですが、なかなかうまくいかなくて。そんなとき、先生に勧められてネギを作ってみたんです。やってみたらこれがすごく楽しくて。ネギは自分に合っていると感じました。しかも、ネギは競合も少ない。これなら勝負できるかもしれない。そう思えました。

AFTER STARTING就農後

1年目
ネギ一本一本に、星さん夫婦の努力が詰まっている。
収益 ×
面積
  • キュウリ:5a
  • ネギ:10a
設備
  • 皮むき機
雇用

国の資金を活用し、ネギ中心の作付けを開始

国の支援制度(農業次世代人材投資資金:経営開始型)を活用して、ネギの皮むき機などを購入しました。キュウリ5a、ネギ10aでスタートしましたが、ネギの育苗がうまくいかず、正直かなり苦労しました。でも、収穫してみたら思っていたよりも良い出来で、「よし、ネギを軸にしよう!」と。義父がやっていたキュウリの栽培も残しつつ、ネギ中心の経営にシフトする決意をしました。手をかけた分だけきちんと応えてくれる作物に、やりがいを感じました。もちろん、収益の面ではまだまだ不安も大きかったですが、それ以上に「やってみたい」という気持ちが勝っていましたね。

2年目
作業効率を高めるため、設備投資や雇用を実施。
収益 ×
面積
  • キュウリ:5a
  • ネギ:30a
設備
  • 管理機
雇用 1名(常時雇用)

やる気だけじゃ回らない。だからあえてネギに“絞る”
作業過多で限界を感じ、ネギに専念

ネギを軸にすると決めた翌年、ネギの栽培面積を30aに拡大しました。この年、自己資金で管理機を購入。万全なスタートを切ったつもりだったのですが、いざ始めると、ネギとキュウリとの作業時期が重なり、畑の管理が間に合わなくなってしまいました。除草もままならず、気になって眠れないことも。結果、どちらも品質が落ち、損失を出すことになってしまって…。一人での作業の限界を感じ、翌年からネギに絞ることを決意しました。同時に、ネギ栽培経験者を常時雇用することで、作業計画が立てやすくなりました。灌水や追肥、除草など、品質を高める管理作業の大切さを改めて実感する年にもなりました。

5年目
夫婦で歩く畑は、日々の積み重ねの証。
収益
面積
  • ネギ:100a
設備
  • 収穫機
雇用 夫婦で農業に従事

技術と経験が自信になる。
100aのほ場で技術を蓄積

ネギの作付面積を100aに拡大した5年目。初年度に比べると失敗することは少なくなりましたが、自然相手の農業にマニュアルはなく、その年の気候によって収量や収益が大きく異なることも。病害虫の対策などに追われることもありましたが、成長を実感するのは、失敗からのリカバリーができるようになったことです。これは経験によるものと自負しています。技術と経験が自信につながっていると感じる日々です。常時雇用していた方が退職したことを機に、夫が専業で農業に従事してくれたことも大きな転機です。売上も増え、経営面でも安心感を得られるように。5年目にして不安なく農業に打ち込める環境を整えることができました。

OBJECTIVEこれからの目標

“おいしい”の言葉が、次の一歩をくれる。
自社ブランドのネギを全国に届けたい
これまでに何度も心が折れそうになりましたが、育てたネギが売れ、「美味しい」と言ってもらえることが何よりの励みになりました。諦めず、実直に作物と向き合うことが農業には大切であることを実感しています。2022年から出場している野菜ソムリエサミットでは、3年連続で金賞を受賞するなど味や品質はお墨付き。現在は飲食店や加工会社に出荷していますが、今後は自社ブランドのネギとして販売したいと考えています。また、これからはオンライン販売を開始したいと考えており、販売に向けて準備を行っています。全国の人々に喜んでもらえるネギづくりを目指し、夫婦二人三脚で、これからも努力を続け、美味しいネギを追求していきたいです。

OTHER CASE STUDYそのほかのケーススタディの皆さん

星 早苗さん

品質へのこだわりを持ち探究熱心な農家さん

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吉田 仁さん

コマツナ周年栽培のスペシャリスト

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研究熱心で頼れる存在のアスパラガス農家さん

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佐藤 豊洋さん

先進的な畜産経営に取り組む若手農業者さん

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渡邊 大介さん

牛への深い愛情と明確なビジョンを持つ期待の星

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大内 徹也さん

向上心と情熱を持ったモモ農家さん

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佐藤 太さん

広報活動も積極的なカスミソウ農家さん

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