interview先輩インタビュー


「農業で生きていく」。そう決めたのは高校生の頃だ。サラリーマン家庭で育った岩本さんだが、両親が副業でブルーベリー農園を営んでいたこともあり、農業は昔から身近な存在だった。
「やるからには専業農家」と覚悟を決め、基礎を学ぶために農業短大に進んだ岩本さん。卒業後は地元の農業法人に就職し、野菜、果樹と多品目の栽培に従事しながら技術や知識、経営の在り方等を約7年間に渡って学び、身に付けていく。
独立就農を果たしたのは2017年春のこと。栽培品目に選んだのは「ミニトマト」だ。会津美里町にはミニトマトのJGAPを取得した生産者やベテラン農家多く、安定した経営が見込めることがその理由。ほ場選びは農業法人での業務を通して培った人脈を頼りに先輩農家に相談し、ミニトマトに適した土地を紹介してもらった。こうした「人とのつながり」こそが自身の財産だと岩本さんは語る。
「独立就農は自分の裁量で仕事ができる反面、迷いや失敗もある。そんな時、先輩農家さんのアドバイスは何よりも心強い。失敗を恐れずまずはやってみること。そんなことをたくさん教えてもらった」。
1年目は土地の特性を把握できず、思うように収穫できない苦い経験がありながらも、2年目以降は土地の水はけを考慮した灌水を行い、
令和元年度は反収3トンに到達。農業人として着実に成長していることが伺える。

年間を通した収入を得ることを目的に、新たにホウレンソウやキャベツ、ニンジンなどの雪下野菜にも着手。そこには明確なビジョンがあるという。
「農業は“ものづくり”。どんなものを作り、稼ぐかをイメージしながら作り上げていく。確かに大変な面もあるが、ものづくりこそ農業の醍醐味であり、自身の糧になっている」。
10年以内に法人化を目指す岩本さんは現在、農薬の削減を実践し、自身が描く理想の栽培方法を模索中。いずれは自分の名前で勝負できる作物を育てることが目標だ。「これからの農業は世襲制ではなく、やりたい人がやるべき。その先駆者として地域農業を盛り上げていきたい」。
若きファーマーの力強いその言葉は、農業を志す人々の道標になることだろう。