ふくのう

interview先輩インタビュー

#03

総合力で「稼げる農業」の
体現を目指す

福島県伊達市だて誠義園 代表
宇別 利次さん
(岩手県出身)

農業に興味を持ち始めた理由はいたってシンプルだった。「効率よく、事業としての農業を成功させられれば、お金を稼げるのではないか」。“農業は儲からない”というフレーズはよく耳にしてきたが、それは廃棄率の高さなどの無駄が多いことが原因であると考えていた宇別さん。「自分が稼げる農業を体現したい」と農業大学への進学を決め、研修先のトマト農園で農業経営のイロハを学んだ。
 独立就農を志した矢先、東日本大地震の災禍に見舞われた。「地元の岩手県で就農しようと考えていたが、あきらめざるを得なかった」。
かわりに、移住先の北海道では6次産業の世界にどっぷりとはまった。道の駅の職員として勤務しながら、農産物の加工品を使ったアイデアスイーツを連発。宇別さん考案のスイーツはまちを代表する商品になり、現在も売れ続ける人気商品となっている。
 独立就農の転機は2018年に行われた福島県の就農相談会。県や国の就農支援制度を知り、かねてより抱いていた農業への想いが再燃した。「地元である東北に帰りたいという思いと、今まで他業種で培った経験を農業で生かせるという思いが合致した」と宇別さん。同県伊達市の桃の農地を借り受け、農業の世界に飛び込んだ。

「合理的に取り組めば、農業は儲かる」。就農前に抱いたこの思いは、就農後に確信へと変わった。現在は130aもの桃農園を1人で手掛けている。すでに同市の平均的な農家の栽培面積を上回っており、この数字だけ見ても、宇別さんの合理性がうかがえる。
もちろん、現状に甘んじるつもりはない。今後は桃のみにとどまらず、経営の安定化を考え、トマトやイチゴのハウス栽培も目指しているという。「人を雇う以上は、その人の生活にも責任を持たなくてはならない」。展望を語る宇別さんの言葉には、経営者としての覚悟がにじんでいた。